ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
―――――夕方
お客様が一旦途絶え、清掃やら片付け。
仕事しながらも、久し振りにシンに逢える嬉しさと、彼が頑張った試験に落ちてしまったコト、数ヶ月前の電話のコトが入り混じり、複雑化した胸の内。
どんな顔して会えばいいんだろ?
いつものアタシでいられるかな………?
刻一刻と、約束の時間が迫る。
今日はいつになく、シンに逢うだけなのにドキドキしてる。
しかも今、会議所の方が淳子さんと話をしている。
シンの上司で………石井さんってヒト。
よくシンが、石井さんの目が半分しか開いてないようにしか見えないからって、“半開き”ってあだ名付けて言ってたっけ。
石井さんは、アタシとシンが出会う前からココの担当で、ごくごくたまにだけど巡回指導ってコトで店に来る。
淳子さんの話では、シンがM-Blowで髪を切っているコトを石井さんは知ってるけど、アタシとシンが付き合っているコトまでは知らないようだ。
シンもそうだけど、会議所の方たちも、企業からの相談や改善のお仕事しながら、仙台の大きなイベントを仕切ったりするんだから………大変だよね。
だからあまりシンと一緒に仙台でのイベントを楽しんだコトがない。
いつもシンはスタッフ側で。
必死に働いている姿を、お客としてアタシは見ているのデス。
目はシンを追ってて。
そんなシンがカッコよかったりするんだ。
思わず顔がニヤつく。
おっと、手が止まってる。
イケナイ、イケナイ。
仕事、仕事っと。