ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
二人の話は更に続き………。
「―――――この間、ウチの職員の一人が分町(ぶんちょう※仙台市中心部の繁華街【国分町】の通称)で友人数人と飲んでたらしく、その隣の座敷で、水嶋と埼玉の診断士の先生が飲んでたのを偶然見たみたいなんだ」
「………で?見ただけでは分からないから…要は、真ちゃんらの話を盗み聞きしちゃったわけ?」
「いや………水嶋を見たというそいつは『聞こえた』って言ってたが………淳ちゃんにだから話すけど、そいつ水嶋がキライみたいで」
「あら………そう………まぁ、どの世界にも、合う・合わない、好き・嫌いはあるから」
「………まぁな。しかし………そいつだけじゃなくて、職員の間からの水嶋バッシングはかなりのモンだよ。アイツは気付いてないんだろうな………」
シンが、バッシング……?
心臓の鼓動が小刻みになり、思わず胸を押さえる。
「なに真ちゃん、そんなん嫌われてんの?不器用で向こう見ずだけど、真面目でいいコよ?」
少し無言の間の後、会議所の石井さんが、“はぁぁ…っ”と深い溜息をついた。
扉の外のアタシの掌は、じわじわっと汗ばみ、張り付く。
イヤな汗………。