ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】


「………その先生、もともと埼玉に事務所構えているんだけど、仙台に拠点を移したいってなって………その………誘われたんだ………“一緒に働かないか”って……………しかも、この店で………」


そう言って親指を立て、シンの左斜め後方のカウンターを指す。
どうやら、指差すところで二人話をしたんだろう………。

ヘッドハンティングの意味がそのコトバで、何となくだけど、解った。


「シゲさん…って、たまにシンの話に出てくる人…?」

「ああ、そうそう。ホントは山路滋規って言うんだけど、本人には言わないけど」

そういえばたまに、シンの仕事の話で“シゲさん”の名前が出てきていた。

アタシは会ったコトはまだない。

サーフィンやスキーが好きで、たまに蒲生干潟(※仙台市宮城野区…仙台新港近く)や亘理町の荒浜、白石蔵王に来るようなコトを、シンから聞いていた。


よく、“俺はシゲさんみたいな診断士になりてぇ”って自分で言っといては“人の心理を理解して診断するとかって、俺には無理かも”ってガッカリして。


そっか………シンが尊敬している先生に言われたんだ………。


アタシだったら………?
アタシだった、どうしてたんだろ………?






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