ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
「そっか、モンゴルかあ………俺は一番に“朝青龍”が浮かんだ。しかし“モンパチ”は違うんじゃね?名前だけだろ?」
「そーだけどさぁ。いいじゃん、別にぃ」
「ハイハイ、解った解った。それよか、久し振りじゃね?衣理からの電話。メールはたまにだけどさ、何か新鮮」
「アタシも。ノブ、この春から担任でしょ?新学期だし、一年生のお泊りオリエンテーリングとかで忙しいと思ったから………」
「おっ、スルドイ」
「まぁね。去年の広瀬川の灯ろう流し以来会ってなくても、こうしてしょっちゅうメール交換してればノブのコトぐらい解るって」
「もしかして盗聴されてる?俺?」
「実は、冷蔵庫の後ろに………ってコラ!だいいちアタシ、ノブんチ知らないし」
「んだっけ?」
お互いにケラケラ笑いながら話す。
アタシは相変わらず、ノブとメールや電話だけの繋がりを続けていた。
お互いに“会おうか”ってコトもなく、日頃の出来事や悩みなんかをメールに綴ったり。
だからノブも、アタシの今の現状を(多分)把握してるハズ。
付き合っていた頃は、こんな冗談言って笑い合うコトなんてなかった。
だからか、今、ノブとは“元カレ”と言うより、“村越敦裕”という友人と言う感覚。
そりゃあ………メールや電話するトキはドキドキするケド。
それは恋愛感情じゃないって、思ってる。
ただの緊張感。
だって、お互い恋愛に発展する要素を持ち合わせていないし。
互いに大切なひと(アタシはシン、ノブは茉莉子さん)を捨ててまで、燃え上がる程の感情はないし………。
アタシにとっては、ノブとのこの距離感が一番いいカンケイな気がする。
(都合よすぎ?)