ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
空を仰ぐと、まん丸より少しだけ欠けた月が、雲に隠れようとしていた。
月の側にだけある、厚くて大きい雲。
まるで、アタシが感じてるノブとのキモチを示しているような。
そんな気がしてならないの。
シンと結婚したら、ノブとメール交換したり電話でお喋りしたりって、出来なくなるのかな?
シンに隠れてしてて、もし彼にバレたら―――――
―――――胸がチクチク、痛み出す。
短い間でも、かつては恋人同士で、結ばれたアタシとノブ。
今は、ただの友達同士だけど、シンはきっと、そんなアタシたちの関係を素直に受け止めてくれるはずなんてない。
赦してくれないだろうな………。
月が厚い雲から顔を出し、部屋中に青白い光が差し込む。
眩しい………。
思わず、カーテンを閉める。
春の月光が、こんなにも眩しいって、知らなかった。
そして、胸をこんなにも締め付けるチカラを持っていたなんて………。
シンのコトを思うと。
結婚する前に、ノブと、サヨナラしなきゃいけない。
やだ………目が冴えて眠れない…………。