ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
「水嶋」
「はい………」
琥珀色の想いを一口飲み、俺の顔を覗き込むシゲさん。
目が合うと、疚(やま)しい気持ちがあるわけでもないのに、俺は思わず目を伏せた。
「……………大学校行ってる間、衣理さんに変わった事は?………後は…」
「………後…は?」
気持ちを落ち着かせ、伏せてた視線を、シゲさんへ向けた。
「―――――大学校で水嶋と同期生の………ほら、名前何でしたっけ………えっと………」
“うーん”と腕を組んで唸る。
あ――――――
カラン…………
氷が溶け、琥珀色の海に浮かぶ氷の島が小さな音を立てて。二つに分かれた―――――
「―――――もしかして、“加東結可子(カトウ ユカコ)”の事、ですか………?」