ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
「マジかよぉ~?おい、みずしー、初日から紅一点の加東さんに嫌われてぇ~」
かなり出来上がっている柳橋が、俺の右肩に手をかけて絡んでくる。
勝手に“みずしー”とかあだ名付けてるし。
しかも泡盛の独特の匂いが漂ってきて、俺まで酔いそう………。
「あーっ、もうムカつくっちゃ!!」
「おーおー、みずしー、ご立腹!!怖いから早よトイレに逃げっぺがな」
俺の怒りを他所に、柳橋はガハハと笑いながら、洋式のトイレへドアをバタンバッタンさせて入っていった。
日中のコンセンサスゲームの時は、斬新なアイディアと、弁の立つプレゼンで湧かせた男が、酒が入るとぐだぐだ。
同じヤツとは思えない。
随分、おもしれぇ………陽気なヤツなんだな。
「変わらないね、真一」
俺の耳元で結可子が囁く。