ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
「―――――よぉ」
“―――――さっきはアリガト。何?電話してきて………”
「………あ…いや…」
“あ、もしかして別れるのが惜しかったとか?”
そう言って、電話越しでクスクスと笑うアイツ―――――
「そうじゃねぇって………」
“今あたし新幹線に乗ったとこ。何か、信号トラブルで遅れそう……それはさておき。真一はちゃんとウチに帰ったの?………あ、その感じでは帰ってないな!?んもーダメダメッ!寝てないんだから、ちゃんとウチに帰ってカラダ休めなきゃ!!”
矢継ぎ早に、畳み掛けるように。
立て板に水の如くしゃべり倒す。
実にアイツらしい。
「フッ………結可子……俺の母親みてぇ…てか、母親だって、そこまで言わねぇよ。お前とエリぐれぇ………あ」
“………そんな事言いたいためにわざわざ電話してきたの?どうも、ごちそーさま”
「なンだよっ………いや、そうじゃなくて………さっきは…どうも」
3秒ぐらいか?
フッ…と小さく漏れる笑い声
“………あたしも感謝してる、真一。せっかく彼女と一緒のところ、あたしのせいで―――”
「それはもう言うなよ!!」
―――――俺と結可子の間に沈黙が流れる。
「何か………俺、お前にちゃんと礼言ってなかったからさ………」
沈黙を破ったのは俺の方だった―――――