ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
―――――しょっぺぇ………
結可子の唇は、大宮駅で別れた時と同じ、涙の味がした―――――
唇を重ねただけのキス………
嗚呼。
大学時代―――
結可子と付き合うってなった日の朝。
あの日のキスもそうだった気がする。
憶えてるもんだな…俺。
ただ、守ってやりたいと思った。
昔の恋人だから?
大学の同窓生だから?
大学校の同期だからか?
悪友?
戦友?
俺自身、よく解らない―――――
頑固で強がり言ってばかりの結可子を、ただ放っておけなくて。
―――――もしかして
俺が結可子を好きでいる?
いや………そうじゃない。
そういうつもりじゃ―――――
じゃあ何で俺、エリ以外の女に、こうしてキスしてるんだ―――――?