Riot on the gene
3


梅雨も開けて季節は夏本番!
ひと月ほど前にみた「闇の中を溺れる夢」はたまに見るようになった。必ず耳鳴りを伴って。
この夢を見た朝は心がモヤモヤする。

だけれども、そんな朝でも木下がおはようって笑いかけてくれるだけで気持ちが晴れるんだ。

彼女を意識するようになってから、挨拶をかわすだけでもいっぱいいっぱいだ。


5限目の授業、生物。

昼飯を食べたばかりで腹がいっぱいなのか、祐作は窓側の席でうつ伏せて寝ている。
俺はヤツの斜め右後ろなので、アイツの熟睡っぷりがよくわかる。
祐作の後ろの席…。つまり俺の左隣に木下が座っている。

チラッとみると、南風が柔らかく彼女の髪を揺らしていた。

髪伸びたなぁ…。

俺が彼女を気になりだした頃はまだボブカットだった。今は肩より少し長くなって、大人っぽくなった。

やっぱ彼氏いるのかな…?大人っぽくなったもんな。
木下は真面目にノートをとったり、教科書にラインを引いたりしている。


「…であるから、何故DNAは生命体の設計図ともいわれているのか…」

教壇では竹センが睡魔に拍車をかけるような口調で授業をしている。

「…ワトソンとクリックは、2本のDNAが螺旋状に存在していることを発見したが、ではこの構造をなんというか?今日は10日だから…10番、岡田!」

祐作は全く気がつかないで爆睡している。

木下が後ろからつついても気がつかない。

えぇい、起きやがれ!

俺は消しゴムを投げてやった。


キィィーン

突然、例の耳鳴りがした。
そして、消しゴムが祐作に当たろうとした瞬間―!

バリーン!
ドーン!

教室の窓ガラスが割れて、ほぼ同時に爆発音がした。
窓の向こう、数キロ先では煙が上がっている。

あそこは…!

親父がいる大学だっ!?
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