学校イチのチャラ男と手錠∞でつながれちゃった女の子の物語(仮)
あたしはひとつ深呼吸して空を見上げる。
雲ひとつないそれは、まるで水に溶いた水色の絵の具を一面にこぼしたかのように見えた。
頭の中を塗りつぶすために、ここにやってくる、
と言っていた深町京悟の言葉を思い出す。
その言葉の真意はあたしにはわからないけれど……。
たしかに視界に空しか写らないこの風景は、日常の嫌なことを忘れさせてくれるような、
そんな気がした。
彼には忘れたい何かがあるんだろうか?
そんなことを考えて、指で彼の顔にかかった前髪をそっと払った。
その無防備な寝顔がなんだか可愛く見えて、あたしの頬は緩む。
今朝までは大嫌いだったはずの深町京悟の頭が、今はあたしの肩に寄りかかってる。
その重さと体温に、なぜかあたしは安心感を覚えている。
なんでこんな風に思っちゃうんだろう……。
なんともいえない不思議な気分の中……
やがてあたしの意識も薄れていった……。