学校イチのチャラ男と手錠∞でつながれちゃった女の子の物語(仮)
「けっこう、歳、離れてるよな?」
「そうだなー。10ぐらい上かな。
瞬(シュン)ちゃん……北瀬川先生って、昔っから文学青年でさー。
子供の頃、よく絵本とか童話とか読んでもらったんだぁ」
話しながら、あたしの頭には、その頃の情景が浮かんでいた。
あたしが小学校低学年の頃まで、瞬ちゃんとは同じ団地に住んでいた。
うちの両親は共働きで忙しかったから、あたしはほとんど毎日のように瞬ちゃんの家に遊びに行かせてもらっていた。
瞬ちゃんは、あたしにとって、お兄ちゃんでありお父さんであり、さらに言えば、お姉ちゃんやお母さんみたいな存在でもあった。
器用でなんでもできる瞬ちゃんは、あたしが「お腹が空いた」と言えば、簡単なご飯を作ってくれたりもしたし。
親にかまってもらえなくて寂しがるあたしをなぐさめるために、いつも絵本や童話を読んでくれた。