暴君とパシリちゃん

「はぁ?」


怒ってます…よね?


「何お前?」


桜から、標的が私に変わる。


明らかに怒りマークが浮き上がった二人が私に向かってくる。


「は!美人転校生の回りをチョロチョロしてる不細工な女ってのはお前か?」


グッサリ…


言われ慣れてても、何回聞いてても、やっぱり傷つくんだ…


「かまってほしいわけ?」


「まぁ、頭下げてもいいぐらい勘弁だけどな!」


二人の笑い声がたくさんの針になったように刺さってくる。


「女として見られないんだから、ちょっと黙っててくれますかぁ!?」


「不細工は発言禁止ー!」


二人の笑い声と、小さく聞こえる他の生徒の笑い声。


もう…やだ…


目の前が涙で霞んできた。


「羽璃!」


桜が、二人を突き飛ばして私を庇うように抱き締めてくれる。


「行こう!」


私の手を取り、歩き出す。

「えー。そんな不細工ほっといていいじゃん!」


その言葉を聞いた瞬間、桜の手の暖かさが消えた。


振り返った桜を目が追った。
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