暴君とパシリちゃん
教室の前で、深く深呼吸をした。
教室が近づくにつれて、激しくなる心臓は、今、破裂寸前のようになっていた。
磨莉亜…
磨莉亜…
磨莉亜…
私の中は磨莉亜でいっぱいで…
扉を開ければ、磨莉亜がいるんだ…
磨莉亜は、可愛いって言ってくれるかな?
パシリ以外の…女の子として見てくれるかな…
桜は、そんな私の気持ちが落ち着くのを待ってくれていた。
「さっ…桜…」
私より、10センチ高い身長の桜を見上げてみた。
「行ける?」
その優しい声と笑顔が勇気をくれる。
行かなくちゃ…
行かなくちゃ、何も始まらない!
「うん!頑張る!」
桜の手が教室の扉に触れた。
勢い良く開いた扉。
私の運命の扉…