暴君とパシリちゃん
入った瞬間、騒がしかった教室がシーンとなった。
うつ向いていた私も、反射的に顔をあげてしまった。
シーンとした教室のすべての目が私を見ていた。
自然と体が後ろに引いていく。
「羽璃?早く入りなよ!」
桜が手招きしている。
「で、でも…」
躊躇する私の手首を掴み、ニッコリ微笑んだ。
桜に連れられて、自分の席につく。
「え…羽璃って…あの!?」
「うそ…」
「全然違うじゃん!」
わぁわぁと、さっきより騒がしくなる。
いつもじゃ考えられない。
「すっごく、可愛くなったね!」
「メガネないと印象全然違うー!」
私の回りには人だかりが出来ていた。