暴君とパシリちゃん
何これ?
いつもはあまり喋らない男子までもが私の回りにいた。
ビクビクしちゃうよ…
「佐伯って、可愛かったんだな!」
「え?」
一人の男子がいった言葉に聞き返す。
桜やパパ・ママが言ってくれた…
可愛いって…
でも、他の人に言われて、ビックリした…
だって…
慣れてない…
「え?だから、可愛いって言ったんだよ!」
嬉しい…
素直に嬉しかった。
自分でも分かるほど、ポッと顔が赤くなった。
「…ありがとう…」
微笑み返した羽璃に、その笑顔を見た全員が、ドキリとした。
(あーぁ…そんな笑顔、磨莉亜以外に見せちゃダメじゃない…)
まだ、自分が可愛くなれたと思いきれない羽璃には、笑顔が武器になるなどという事が分かるはずもなかった。