暴君とパシリちゃん
磨莉亜の中で、何かが弾けた気がした。
赤くなりながら、頷いた羽璃を見て、無性に苛立った。
「似合わない…」
「え?」
見上げる羽璃の目が揺らいだ。
「似合わない…その格好」
羽璃の目が、潤んでいくのが分かった。
それでも止まらなかった。
「羽璃がいくら化粧しようが髪型変えようが…似合わないから」
ズバッと切り捨てられた気がした。
力なく下を向いた羽璃を、ギリッと唇を噛んで見ていた。
(そんなにソイツが好きなのか?)
泣いているのが分かる。
肩が小刻みに揺れていた。
「羽璃?」
磨莉亜が呼んでも、小さく首を降る。
イライラした気持ちが大きくなっていく。
自分のそばにいたこの数年。
羽璃は、世の中の女がしたいと思う化粧にも、服装にも興味を示さなかった。
なのに…誰なんだ?
羽璃が好きになった奴ってのは!?