暴君とパシリちゃん
グイッと羽璃を窓に押し付けた。
ビックリして、羽璃が磨莉亜を見上げる。
頬を伝う涙。
赤い瞳。
(やっぱり…泣いていた…)
羽璃は、不思議だった。
苦しそうに歪む磨莉亜の顔。
なんで、磨莉亜が泣きそうなの?…
「お前は、俺の側にいればいいんだ…」
その言葉に、期待がトクンと音を立てた。
「一生俺の側にいろ…」
磨莉亜…?
それって…
期待した羽璃に磨莉亜は言った。
「パシリがいないと、いろいろめんどうだろ?」
羽璃の期待は、ビックリするほど強烈に砕かれた。
愕然とする羽璃に磨莉亜は気づかずに続ける。
「いい子にしてたら、ご褒美ぐらいはやるよ…」
そう言って、羽璃の唇を奪った。
「…やぁっ…」
抵抗して、磨莉亜の胸を押すが、その両手もすぐに窓へ押し付けられた。
さっきとは比べ物にならないほどの激しいキスが降る。
「…やめっ…」
苦しくて…パシリに与えるご褒美として受けたファーストキス…
羽璃は、涙を流した。