暴君とパシリちゃん
コーヒーを一気に飲み干し、ペロリっと唇を舐めとる仕草さえカッコ良くて、胸が小さく鳴っている。
「なぁーに言ってんの?こーゆーのは羽璃がするからいいの。ね?」
コクンと首を傾げながら問いかけてくる。
こーゆーの?
パシリのする仕事だから?
「…ん…」
私が磨莉亜の側にいるには、メイドでもパシリでも、それしかないから…
「そっかぁ!パシリちゃんだもんね?ジミ子は♪」
下田さんの可愛らしい笑顔が、私を見下してるのが分かる。
言われなくても分かってる。
私は…
磨莉亜には似合わない…
「じゃーさ、ジミ子。オレラの飲み物も買ってきてよ」
「あっ、俺、コーラ!」
「…え…」
磨莉亜以外のパシリなんて…
ヤだよ…
「だーめ!」
カンッと言う音が響く。
磨莉亜が飲んでいた缶が机に強く置かれた。
「羽璃は、俺の頼みしか聞かないの」
そう言って笑いながら教室を出ていく磨莉亜の後ろを、私を睨みながら下田さん達も出ていった。