暴君とパシリちゃん


教室では、2人は今まで通りだった。


ジュースを買いに行かされたり、磨莉亜が散らかした物の掃除…


姿が変わっても、羽璃がしていることは変わらなかった。


桜が怒るが、羽璃は笑うだけだった。


「いいの…私が望んだ事だから…」


キスの契約は桜が知ることはなかったが、あれほど磨莉亜を振り向かせようとしていた羽璃が変わったことに何かがあるのは分かっていた。


しかし、笑ってごまかすから、分からない。


桜は少し、イラついていた。


でも、変わらなかったのは、磨莉亜と羽璃の関係だけで、回りはガラリと変わった。


毎日のように代わる代わる羽璃に呼び出しがかかる。


しかし、その度に磨莉亜の命令が発せられた。


上級生にも、一目おかれている磨莉亜だから、誰も文句も言わない。


皆、磨莉亜がいない時を狙おうと必死だった。
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