暴君とパシリちゃん


どうしよう…


教室に戻り、磨莉亜に缶コーヒーを渡すと、何も言わずに、席につく。


磨莉亜が後ろから、ジッと見ていることも気づかずにいた。


「うーり!」


桜が笑顔で席に来た。


「今日さ、お昼、学食にしない?」


そう言われて、困った顔になった。


やましいことをしているわけではないが、声がさくなった。


「今日、無理なの…」


桜にさっきあった事を言うと、桜も小声になる。


「石井湊って、三年の?」


「何年生かは聞いてない…ネクタイの色、見るの忘れてた…」


「石井湊って言ったら、三年の中でもダントツのイケメンだよ?たまに、皆がキャーキャー言ってんじゃん?」


羽璃の首が傾くのを見て、桜が呆れた。


「羽璃は磨莉亜一筋だからね?他は目に入らないか…」


「さ、桜!」


「まぁ、いいんじゃない?お昼一緒してきなよ?」


羽璃は乗り気じゃなくて、返事をしない。
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