暴君とパシリちゃん
教室に戻り、また机に体を預ける。
「磨莉亜ぁ、お昼行こ?」
下田結可が、抱きついてきた。
「磨莉亜ぁ?」
甘い声で呼ぶが、磨莉亜は起きようとしない。
「ねーってばぁ!」
体を揺らすと、腕の間から、磨莉亜の切れ長の目が冷たく結可を見ていた。
「っ!」
パッと磨莉亜の体に触れていた手をのける。
「消えろ…」
磨莉亜の取り巻きの男が、結可の腕を掴んだ。
「じゃ、じゃー俺ら、メシ行ってくるわぁ!」
そう言って、放心状態の結可を連れ出した。
「こえー…」
「久しぶりに磨莉亜のキレてんの見た…」
「結可?大丈夫?」
沈んだままの結可を友達達が慰める。
「まぁ、最近、機嫌は良くなかったからなぁ…」
「確かに…いつキレてもおかしくなかった…」
はぁー…と口々にため息を漏らしていた。