暴君とパシリちゃん
わかってる…
いつか、羽璃に男ができるかもしれないって…
アイツが羽璃の好きな奴なのか?
だとしたら、付き合うのは時間の問題なのかもしれない…
何なんだ…
このイライラした気分は…
何なんだよ…
取り巻き達のいなくなった教室で、磨莉亜は一人訳の分からない苛立ちにギリッと歯を食い縛っていた。
苛立ちが収まらず、教室を出て、視聴覚室に向かう。
一人になる時は大抵行く場所だ。
そして…
羽璃とのキスの時…
窓を開け、窓際に置いた椅子に腰掛け、タバコに火をつけた。
教師は知らない。
扉を少し上に持ち上げると、壊れかけた鍵が簡単に開くのを…
そして、それを知っているのも、磨莉亜と羽璃だけ…
また、羽璃の事を考えていた。
吐いた煙が風に乗って外に流れていく。
少しだけ、苛立ちが消えていく気がした。