暴君とパシリちゃん
「?羽璃ちゃん?」
「え!?」
顔を覗きこまわれていて、ビックリした。
「考え事?」
「すみません…」
「構わないよ。俺もボーッとしとくから!」
ニッコリと笑う石井に羽璃も自然と笑っていた。
たわいもない会話が続くだけだが、なぜかホッとした。
笑いかけられると、羽璃も自然に笑う事ができる。
「その弁当、誰が作ってんの?」
指を指し、石井が言った。
「お母さんです」
「へー!いいなぁ。俺もそんな弁当食いたい!」
「食べます?」
「え?」
「唐揚げ!スッゴく美味しいですよ?」
今日のお弁当の中身は、おにぎり・サラダ・唐揚げ・卵焼き。
「味付けもお母さんがしてるんです!」
嬉しそうに説明しながら、フォークで唐揚げを刺すと、石井の前に差し出した。
羽璃は、何も考えずにした行動だったが、石井はビックリしていた。
戸惑う石井にニッコリ笑いかけた。