暴君とパシリちゃん


視聴覚室の前まで来て、扉を開ける前に息を整えた。


そして、周りに誰もいないことを確認して部屋に入る。


窓際にタバコを吸っている磨莉亜がいた。


「磨莉亜…」


入ってきた羽璃に、目を向ける。


「鍵…」


「あっ…うんっ」


カチャリと鍵を閉め、磨莉亜に近づいた。


「タバコ…ダメだよ?」


窓の外に煙を吐くと、窓枠にタバコを押し付けて消し、床に捨てる。


「あっ…ダメだよ!」


吸殻を拾おうとした羽璃の腕を掴み、引っ張ると、少し強い力で窓に押し付けた。


「いたっ…」


少し背中を打ってしまって、小さく呻いた。


持っていたランチボックスが、ガンと音をたてながら床に落ちる。


そんなことは気にも止めせず、磨莉亜の綺麗な顔が羽璃に近づいてきた。


ドキッと胸が高鳴るのが分かる。


乱暴にされても羽璃はどこかで磨莉亜を欲していた。

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