暴君とパシリちゃん


手首に何かが触れた気がして見上げると、壁に押し付けられていた手首に磨莉亜がキスをしていた。


「跡…ついちゃったね…?」


赤く色づいた手首に何度も唇を落としていく。


「俺のものだから…」


「え…」


チュ…と強く吸われ、握られていた跡よりも濃い赤いキスマークが手首につく。


「あいつ…誰?」


磨莉亜と視線が絡んだ。


「…昼…一緒にいただろ?」


そう言われて、石井の事だと気づいた。


「せっ先輩だよ?今日、ジュースを奢ってもらっちゃったから、お礼にお昼を一緒してほしいっていわれたから…」


「羽璃は、そいつが好きなの?」


突然の磨莉亜からの質問に、羽璃は愕然とする。


「違っ…」


違う…そう言ってしまいたかった。


だが、磨莉亜にとって自分が何なのか…
自信なんてなかった…


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