暴君とパシリちゃん
重なりあう視線から目を反らせない。
「羽璃は誰の?」
見下ろしている磨莉亜の顔が近づいてくる。
「…磨莉亜…の…」
クチュッとイヤらしい桜音がして、唇が触れた。
自分の唇の中に磨莉亜の舌が入ってくる。
今ではそれさえも自然に受け入れていた。
でも今はドキドキよりも、ズキンズキンと胸が傷んで涙が溢れた。
磨莉亜にとっての自分…
玩具を取られるのが怖い子供のような磨莉亜…
だから、私にキスをするの…?
繋ぎ止めるため…
いつか…磨莉亜に彼女が出来たら…
こんなキスじゃなくて、優しい優しいキスをするんだ…
私には絶対しないキス…
苦しくて、必死に磨莉亜の服を掴んでいた。