暴君とパシリちゃん
やっと磨莉亜のキスから解放された羽璃は、ズルズルっと地面に座り込んだ。
「…磨…りあ…」
赤く色づいた唇が、そう呟くのを石井はジッと見ていた。
力なく座り込んだ羽璃に目線を合わせるように磨莉亜も座り、優しく羽璃を抱き締めた。
少し驚いたように目を開けた羽璃だったが、磨莉亜の体温を確かめるように、その背に腕を回す。
「きゃっ!み、港?」
石井は、乱暴に真夏の腕を掴むとその場を立ち去った。
そのまま、保健室に真夏を連れ込んだ。
「港、どうしたの?」
ベッドに座り込んだ港の髪を撫でる。
「ここじゃ、先生帰ってきちゃうよぉ?」
真夏の甘い絡んでくる声を聞きながら、港は、磨莉亜と羽璃のキスを思い出していた。
体が熱をおびてくる。
どうしようもなく抑えが効かない。
「きゃ!!」
自分の髪をクルクルと玩んでいる真夏の手を掴み、ベッドに押し倒した。