暴君とパシリちゃん
「誰も…来なかった?」
上目遣いで港に聞いてみる。
「来たよ。先生」
「!?」
ビックリして目を見開いた。
「制服直した後だったから大丈夫。適当に誤魔化したし…」
と笑う。
ホッとため息をついた。
その時、甘い香水の香りが真夏の鼻をくすぐった。
港の胸に顔を埋めている。
「みっ港?」
「ゴメンな…危険な目に合わせた…」
教師に見つかれば、退学決定だろう。
真夏は小さく首を横に振って否定した。
「真夏…嬉しかったよ…」
港の背に腕を回して抱き締め返した。
「ゴメン…」
もう一度謝って、その腕に少し力を入れて抱き締める。
いくら身体だけの関係だと割り切っていたとしても、他の人を思っていたなんて…
港は罪悪感で一杯だった。
真夏は知る由もなく、ただ嬉しそうに港の胸に埋まっていた。