暴君とパシリちゃん
その『白雪姫』は、大きな瞳で、クラスをジッと見回すと、ニッコリと微笑んだ。
…可愛い…。
今まで見てきたどんな女の子より、芸能人より、『白雪姫』は綺麗で、微笑んだ姿は可愛らしくて…
まったくの正反対な彼女に私はただ見とれていた。
「父の仕事の都合で転校してきました。小学生まではこちらの地区にいたので、私の事を知ってる人もいるかもしれません。名前は、嘉納桜子(かのうさくらこ)と言います。よろしく。」
かのう…さくらこ…?
さくらこ…
桜子!!
「桜!」
思わず、立ち上がり声に出してビックリしてしまった。
クラスの視線と桜の視線が私を指してくる。
「羽璃?」
桜の唇が私の名前を呼んだ。
パァーッと笑顔になり、私に向かって走りよってくる。
「羽璃!」
ギュッと抱きついてきた桜を、私も抱き締め返す。
桜は、小学三年の時に転校してしまうまで、ずっと一緒だった…
磨莉亜と同じ、幼なじみだ。