暴君とパシリちゃん
ユックリとした動作で、唇についたグロスを拭う。
そんな動作でさえ色っぽく、女の体を熱くさせた。
「女の子に恥かかせちゃダメでしょ?磨莉亜くん」
いきなりヒョコッと現れた男に磨莉亜は内心驚いていた。
磨莉亜の横にドカリと座ると、磨莉亜をまたいだままの女の腕を引っ張って、自分の上に座らせた。
「ちょ!何?」
女の言葉を無視するように磨莉亜を見ている。
「…なんで、あんたがいるわけ?…」
「俺も、ココの常連!まぁ、他人に興味がない王様は知らなかっただろうけど…」
そう言って、磨莉亜の手からビールのグラスを取ると、一気に飲み干した。
「…で…何か用?…」
「ん…んー…」
少し焦らすように笑うと、空になったグラスを、カーンっと音をたててテーブルにおいた。
唇の端だけをあげて笑う。
目は笑っていない。