暴君とパシリちゃん
ジッと磨莉亜を見る目。
「佐伯羽璃…」
羽璃の名前にビクッと磨莉亜の体が反応した。
それを楽しそうに見て、笑う。
「…最初は急に綺麗になった女がいるって聞いてさ…好奇心だったんだよね!」
膝に乗せた女の顎をあげ、唇が触れそうなぐらいまで近づく。
女の頬が赤くなるのが分かる。
「…でもさ…」
チラリと磨莉亜を見る。
「…本気になっちゃったみたいなんだよね…」
その言葉を静かに眉一つ動かさずに磨莉亜は聞いた。
「…彼氏…じゃないみたいだし。遠慮する必要ないよね?」
女の唇に、親指をつけ、グロスをつけると自分の唇に軽くつける。
女の体が磨莉亜だけでなく、男にも反応して熱くなった。
「…キス…出来るのは、お前だけじゃないだろ?あの唇、俺も味わいたいんだよね。甘そうだ…」
その言葉に、今まで微動だにしなかった磨莉亜が立ち上がり、男の胸ぐらを掴んだ。
「きゃ!」
その勢いに女がソファーに倒れ込む。