暴君とパシリちゃん


「…てめぇ…」



「…お前のじゃないだろ?選ぶのは羽璃だ!」



磨莉亜の手が離れる。



「俺は、あんなキスしない。泣かせてするキスはな!」



磨莉亜を突き飛ばし、立ち上がった。



力なくソファーに座り込む磨莉亜。



「羽璃、貰うから。嫌なら、抵抗してみろよ。我が儘王様!」


男は言い捨てるとその場を後にした。


男がいなくなると、ズルズルとソファーに寝転がり、顔を手で隠す。



今、どんな顔してるんだ…



羽璃…羽璃…羽璃!!



男に言われて気づいてしまった。



誰にも渡したくない。



誰にも見せたくない。



誰にも触れさせたくない。



羽璃を…




好きなんだ…
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