暴君とパシリちゃん


崩れた磨莉亜を横目に男は人の波を通り、出入口へと向かっていく。


「あれ?港、もう帰んの?」


立ちふさがるように別の男が言った。


「今日は帰る…ってかしばらく来ねぇかも…」


「はぁ?なんで?女がさみしがるじゃん!ってか俺らもおこぼれもらえねーじゃん!」


そういって笑う親友に、ふっと笑みがこぼれた。


「イイ女見つけちゃったんだよね。すれてなくて、可愛いんだわ…」


「それって、今、噂の元地味なメガネっ子?」


会話をしながら、音楽がうるさい店内を出入口に向かい進んでいく。


地下に位置するその場所から出ると外へと続く階段を上がっていく。


上がりながら、親友からタバコを受け取り、火をつけた。


完全に外へと出ると、中のうるささから解放され、ゆっくりと煙を吐く。


「そっ。マジ、ハマった感じ?」


港の言葉に男もタバコに火をつけ、眉を寄せた。


「あの子って、磨莉亜のじゃねぇの?」


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