*゚。スノードーム。゚*〜満ちてく、愛の砂〜
「美山、ごめん! あがっていいよ」
息をきらしながら、バタバタと店に駆け込んで来るリョウくん。
「気にしないで。ゆっくり来てよかったのに」
「……なんでそんなに、機嫌いいなわけ?」
「えへ。彼氏が来てるの! あの三番テーブル!」
「どれ?」
リョウくんは、身を乗り出して和人を見る。
「女と一緒じゃん。浮気?」
「職場の人だよ!」
全く。明日は日曜だし、たくさん甘えよう。
「ふーん……なんかイメージと違う」
「どんなイメージだったの?」
「美山が単純でガキだから、彼氏も幼くてバカっぽいの想像してた」
「し、失礼!! 私はいいけど、勝手に彼氏のこと変なイメージつくらないでよ!!」
バシバシとリョウくんの背中を叩くと、『冗談だよ』と笑われた。またおちょくられた。
ま、今日は和人に会えたから気にしないもん。リョウくんは“あがっていいよ”って、言ってくれたけど、和人のテーブルのオーダーを取りに行く。
「もうバイト終わる時間だから帰るね。お仕事頑張ってね」
「うん、気を付けて帰りなよ」
木下さんにも会釈して、和人と別れる。控え室に向かう途中、リョウくんに呼び止められた。