*゚。スノードーム。゚*〜満ちてく、愛の砂〜
「美山の彼氏、マジで怖いんだけど!」
……は?
バイトあがり。リョウくんに自転車で駅まで送ってもらってる時に言われる。
「何が怖いの? 優しいよ」
「この間、美山が帰った後、“いつも駅まで送ってくれてありがとう”ってお礼言われたんだけど」
「うん」
「社交辞令的に、かわいい彼女で、心配だろうから、俺が責任を持って駅まで送り届けますからって言ったら」
「うんうん」
「“信用してるけど、間違っても手だけは出さないでね”ってマジな目で言ってきた」
「嘘! 本当に!?」
わわわ!! だからちょっと機嫌が悪かったんだ!! リョウくんの“かわいい”って、言葉が気になったのかな。
「嬉しいー!!」
「わっ、バカ! あぶねーから叩くな!」
あまりに嬉しすぎてリョウくんの背中をバシバシ叩く。
「だけど社交辞令は余計だよ!」
「本気で言ってたら、それこそ彼氏に殴られるだろ?」
「はは、だよね。ちょっと落ち込んでたから元気出たよ。ありがとう!」
「……喧嘩?」
「ううん。仕方ないことに一人で勝手にイライラして、ため息しか出てなかったから」
……本当に。和人みたいに私はもう少し、人に優しくならなくちゃダメだ。