*゚。スノードーム。゚*〜満ちてく、愛の砂〜
「ごめん、心配させたくなかったから。昨日の木下さん、かなり泥酔してたし、泊めるしかなかったんだ。でも別々の部屋で寝たし、何もやましいことはしてないって誓えるから」
「……本当に?」
「うん、絶対」
グッと唇を噛み締めて、和人の携帯を手に取る。
「サクラ?」
「和人からキスされたって木下さんに言われたの。嘘なら文句の電話くらいしてもいいでしょ?」
携帯を開いて、着信履歴を見ようとした瞬間……。私の手は和人の手に覆われる。
「……離してよ」
和人は黙ったまま私の目を見ない。
「してないんでしょ? やましいことはしてないって誓えるんでしょ?」
何か……言ってよ。早く否定して。沈黙は肯定にしか思えないよ。そして、和人はゆっくりと私の顔を見た。
「寝ぼけて、サクラと間違えた木下さんの手を……」
和人の言葉を全て聞く前に、鈍い音が部屋中に響き渡る。
生まれて初めて、本気で人を殴った。
手がジンジンと痛む……。涙が込み上げてきて、視界がグニャリとぼやける。