*゚。スノードーム。゚*〜満ちてく、愛の砂〜
ああ……、女の子って本当に力では適わないんだ。
抵抗を止めておとなしくなると、和人の掴んでいた腕の力がゆるむ。
顔を背けて、泣き続ける私の涙を指で拭ってくる。和人は悲しそうな表情で私の名前を呼んだ。
「サクラ……」
もうどうでもいい。私を抱き起こすと、今までにないくらいの強さで抱き締めて何度も謝ってくる和人。
「ごめん……サクラ、ごめんね」
私が泣き止むまで、ずっと抱き締めて離さなかった。
どれくらいの時間ずっとこうしていたのかな……。和人の胸の鼓動が聞こえて、私の涙も止まって、呼吸も正常に整っていた。
「サクラ、別れるって取り消して。じゃないと今日帰せない」
なにそれ……。
「こんな時だけ……泊まれって? バカじゃない」
きっと和人は、私が感情的になって“別れる”って、言ったと思ってる。
でも、落ち着けば落ち着くほど。冷静になれば冷静になるほど。
許せないんだよ。
好きだから。
許せなかった。