*゚。スノードーム。゚*〜満ちてく、愛の砂〜
腕を掴んで、立たせようとする和人さんの手を払った。
「ごまかさないで! 帰らないって言ってるじゃん」
どんなに困った顔されてもひかないもん。
「……本当にワガママな猫みたい」
そう言って、顔を傾けて私の頬に触れるか触れないかの、ギリギリのキスをしてくれた。
「立って。帰るよ」
「こんなのキスじゃない……」
「初めては大切な人にとっておきなさい」
――“初めて”?
大人のあなたには、私がキスの経験はないってお見通し? 一人背伸びしてバカみたい?
大切な人って……大切な人にしかこんなこと言わないよ……。
悔しくて、苦しくて。
和人さんの首に腕をまわして、私から唇を重ねた。