*゚。スノードーム。゚*〜満ちてく、愛の砂〜
私は立ち上がって、仕事に戻った。
接客なんて苦手だったけど、よく来る常連さんは顔を覚えて仲良く話せる。
やっぱり何かしている時間は、嫌なことを忘れられる。バイトしていてよかった。
そして、バイト終了時間。
「美山。家まで送るから帰るぞ」
「いい! 大丈夫!!」
帰りのタイムカードを、私の分まで押してくれたリョウくん。
リョウくんの気持ちを知ってしまった以上は、もう自転車に二人乗りなんてできないよ。
「……だから、普通にしろって。てか、そんな状態で電車に乗ったらアイスコーヒー臭いんだよ! みんなに見られて、恥かくのはお前なんだよ!」
はっ、はぁあああ!?
「零したのはリョウくんじゃん!」
「だから俺のせいだから家まで送るって言ってんだよ。早く乗れって」
「…………」
いいのかな……。
「……私、まだ和人のこと好きなんだ」
「知ってる」
「だから乗れない」