*゚。スノードーム。゚*〜満ちてく、愛の砂〜
リョウくんは私が指さした金魚を見事に一発ですくいあげた。
一匹だけ袋に入れてもらって、またプレゼントしてもらった。
「ありがと。大切に育てるね。名前つけてよ」
「名前? 黒金魚だからスイミーは?」
ぷっ……リョウくんのあだ名の付け方と言い……めちゃくちゃ単純で笑ってしまった。
「知らない? 小さい頃に絵本で読まなかった?」
「知ってる。黒い魚のスイミーでしょ。大きな魚を追い出すためにスイミーは目になって……」
懐かしい。
真っ赤な魚の群れの中で自分だけが真っ黒な体で、コンプレックスを抱いていたスイミー。
大きな魚に仲間たちをたくさん食べられて、その魚を追い出すためにスイミーが提案したんだよね。
小さな魚たちは大きな魚の何倍も大きな魚に自分たちを見せるために泳ぎを合わせて、黒い魚のスイミーは目の役をしたんだっけ。
大好きだった話。