*゚。スノードーム。゚*〜満ちてく、愛の砂〜
「へ?」
私の頭上に、黒の大きな傘が咲いた。スーツの上からコートを着た男の人に声をかけられる。
「……仔猫が捨てられてたんです。うちでは飼えないからどうしようと思って」
「ふーん……」
そう言って傘をたたむと、私の腕の中から仔猫を抱き上げた。
二十歳くらい? 155センチの私が見上げるくらいの高身長。柔らかそうな黒髪に整った顔立ち。清潔感を感じる服装と優しい雰囲気。
前髪ぱっつんの黒髪ロング。顔もスタイルも至って普通な私から見たら、まるで別世界の王子様のように思えてドキドキした。
「名前は?」
「名前? サクラ、美山サクラです」
「ぷっ……じゃなくて猫の」
わ、私なわけないか! ……恥ずかしい。顔が赤くなって、右手で頬を押さえる。
「……分からない」
「雪の日に出会ったからスノーにしようか」
え?
「俺が、連れて帰るよ」