*゚。スノードーム。゚*〜満ちてく、愛の砂〜
永遠の記憶
「ハウステンボス、着いたぁ!!」
両手をあげて電車を降りる私の隣には和人。
「飛行機の中からずっとテンション高すぎ」
「だってやっと念願の初旅行だよ!? 私、昨日は興奮しすぎて眠れなかったよ! 小学生の遠足前かってお父さんにつっこまれたし!」
そう。今は3月。
あれから一年以上の月日が流れて先週、私は高校を卒業した。
就職も無事内定したし、堂々と和人と旅行に出かけられる日がやっときた。
「マジで私たちって健全な付き合いだよね! 外泊したのってスノーが病気になったあの日くらいだったし」
「そうだね」
スノーの話はもう普通にできる。人の心は簡単に薬では治せないけど、同じ思いを共有した和人が傍にいてくれたから立ち直れた。
「ま、やることはやってるんだけどね」
「下品なこと言わないでよっ! バカ!!」
ドスッと和人の横っ腹を肘うちして、スタスタと先を歩いていく。
だけど和人に腕を掴まれて私の体は引き戻された。