さくらんぼ

授業中に急に

頭の上から声がして

涙の溜まった瞳のまま

そっと隣を見た。


「お前、泣いてんの?

何かあった?」


隣の席の男友達、

高場龍平が

あたしの顔を覗き込むようにして言った。

あたしはそれに

ただ一回だけ頷いた。―



「そっか・・・

お前が居眠りなんて

珍しいと思ったら、

そっか。」


龍平はそう言って

ちょっと複雑そうに苦笑いを浮かべた。

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