月の心～それぞれの心

けれどある時
小さなウサギが
お月さまに向かって
話かけました

「お月さま、あなたはとても綺麗ね」


幾億の年月
地球を見守り続けてきた
お月さまに話かけた

一匹のウサギ

彼女は雪よりも白い姿に
ルビーよりも紅く
神秘的な瞳をしていました

『いいえ、ウサギさん、貴方の方が私より幾倍も綺麗ですよ』

ウサギは嬉しそうに
目をクリクリさせると

「私、あなたとお友達になりたいの」

と言いました


初めての"友達"
お月さまは
とても喜びました


それからと言うもの
お月さまは今までより
明るく強く輝きました

幾日も幾月も
お月さまとウサギは
楽しい夜を過ごしました

ウサギは森の中の出来事を

お月さまは宇宙の星々の事を

幾年も語り合いました

けれどある日
ウサギはぱったりと
姿を現さなくなって
しまいました


お月さまは心配して
いつもよりさらに強く輝き
ウサギを探しました


すると他のどれよりも
大きな木の下でウサギが
冷たくなっているのを
見つけました

『ウサギさん？』

お月さまは何度も…何度も
ウサギの名前を呼びました

けれど…

冷たくなったウサギは
二度と動く事は
ありませんでした