君の音


「み て」



指を空に向けて彼女に
伝えた





(きれい)







そう唇を動かし
足を止め淡い光を放つ
月を見上げた





彼女の横顔は泣いているのかと思うほど哀しげだった





「なんで そんな 顔
するんだ?」





(………)





「俺の事 きらい?」





(ちがう)






「なんで?」






(きょうはうれしかった

でも かなしかった)






「?」







(つかれたでしょ)






「つかれた?」





(きっとつかれるの…)






そう俺に伝えた彼女は何度か手を体の前で動かした






「…?」






(これがわたしのことば

しゅわだよ)





「あっ!手話か!」










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