君の音
(今日からは完成に向けてがんばる!)
「無理するなよ?」
(うん!
優しいね、トオルさん)
「なんだよー!」
(本当に感謝してる。
トオルさんもタツヤさんも優しい。
こんな自由に仕事させてもらって)
「あぁ、タツヤも俺も
一応 物を作る仕事をしてるから その点は理解出来るから。」
(それもだけど…
いろいろとね。このボードだって。
今まで、ここまでしてくれた依頼主はいなかった。)
「そっか」
(分かってて依頼されたはずなのに…
最初は大丈夫なんだけど
だんだん嫌になるんだよ)
「なにが?」
(私が聞こえないこと)
「え?」
(なんで聞こえない?
こんな簡単な事をなぜ話せない?…って
コミュニケーションが面倒になってくる)
俺は思わずミズキちゃんの手を止めた
(……?)