君の音
彼女の事
彼女が書いた文字を消していく俺と、真っ白になっていくボードを彼女は静かに見ていた
「俺もタツヤも
そんな事思わない。
今も、これからも」
少しうつむいた彼女の頭をポンポンとすると
もう一度ゆっくり伝えた
「信じて」
(ありがとう)
彼女は静かに書き始めた
(中学生までは聞こえてたの。
みんなと同じように話したり、聞いたり。
音楽もよく聞いた。
好きだった。
事故にあったの。
いつもと同じように自転車に乗ってたら車が突っ込んできた
血がたくさん出て
すごく怖かった。)
(目が覚めたら病院のベッドだった。
お父さんやお母さんが泣いてた。
でも、何も聞こえなかった
あとで先生にもう聞こえないんだよって教えてもらった時は たくさん泣いた)
「そっか。」
(ごめんね、こんなこと)
「こんなこと?
ミズキちゃんの事だろ。
こんなことじゃねーよ?
大切なことだよ。」