君の音
それから数日
彼女は黙々と
真っ白な壁に色を重ねていった
一面に留まらず
彼女は部屋全体の壁への構想を考えていたようだ
完成図の想像は出来ない色合いで埋まっていく壁を眺めていると彼女が部屋に入ってきた。
「いなかったから心配したよ」
(ごめんね。
家に着替えを取りに行ってたの)
「着替え?」
(うん。今日は泊まり込みで作業するから)
「マジ?! じゃぁ俺も泊まるよ」
(いいの?)
「ああ。」
(ありがとう。
実は、一人はちょっと怖かったの。
さっきタツヤさんに言ったら、今日は外せない用事があるから泊まれないって)
「え?そうなのか?」
(うん)