君の音
しばらく音に酔いしれていると ふと視線を感じた。
顔をあげると彼女がガラス越しにこっちを眺めていた
「お い で」
すると彼女は遠慮がちに入ってきた。
(ごめんね)
「いや、ミズキちゃん
休憩?」
(うん。
あと、トオルさん
なにしてるのかな?って思って)
「おー?俺?」
(うん。探したらここにいた)
「フフッ。嬉しいな」
(もう一回)
「ん?」
(もう一回弾いて?)
「……」
(聞きたいの…
聞こえないのにバカだと思うだろうけど)
「手…」
(…?)
俺は彼女の手を取りギターに触れさせたまま音を出した
(あ…)
暫らく弾いていると彼女の目から涙がこぼれた。